三池崇史監督ということで、バイオレンス系アクションを期待し、それにプラス豪華なキャスティングに惹かれて見た映画。期待以上の作品だった。
まずは衣装。細部にまで拘った「これぞ映画!」を貫いていた。テレビドラマとは一線を画する。そして、豪華なセット。三池崇史監督作品を十分に演出する。
それを支える豪華な役者。特に目立ったのが、異常な暴君を病的に演じる稲垣吾郎の演技。観ているこちらまで憎悪を抱くほどの物語を盛り上げる演技に脱帽した。 彼は本当にジャニーズかと言うほどの怪演を見せ、前半から狂気、鬼畜の洪水。狂った変態ぶりを発揮し、終始怪しい光で「十三人の刺客」を包み込んでいました。うーん、多少乱暴でも必要な描写でしょう。本人も「今までこんなひどい役をやったことは無い」ともらすほど。
他にも血走った市村正親と、飄々として本気な役所広司の対比や、松方弘樹の殺陣はさすがで十三人と多いキャラクターにも上手くメリハリがあって観ていて楽しかった。
古田新太だの伊原剛志だの山田孝之だの、時代劇であり、現代劇であり、迫力にも圧倒され、とにかくすごかった!!
ブルーレイを購入してもう一回見たが、シナリオを知っていてもやっぱり面白いと思うのがこの作品の醍醐味だろう。
スッキリしたい方、時代劇を見たい方、非現実を味わいたい方、是非見てください。
あ、でも、 PG12指定(12歳未満(小学生以下)の鑑賞には成人保護者の助言や指導が適当) なので、気を付けてくださいね。
ストーリー
時は江戸時代後期の弘化元年(1844年)。将軍の異母弟にあたる明石藩主松平斉韶は暴虐・無法の振舞い多く、明石藩江戸家老間宮図書は老中土井大炊頭屋敷前にて切腹、憤死した。幕閣では大炊頭を中心に善後策を検討したが、将軍の意により、斉韶にはお咎めなし、となった。斉韶の老中就任が来春に内定していることを知る大炊頭は、やむなく暗黙のうちに斉韶を討ち取ることを決意し、御目付役の島田新左衛門を呼び出した。新左衛門は大炊頭の意を受け、自身を含めて13人で、参勤交代帰国途上の中山道落合宿にて斉韶を討つことにした。
キャスト
刺客
- 島田新左衛門(御目付七百五十石):役所広司
- 島田新六郎(新左衛門の甥):山田孝之
- 倉永左平太(御徒目付組頭):松方弘樹
- 三橋軍次郎(御小人目付組頭):沢村一樹
- 樋口源内(御小人目付):石垣佑磨
- 堀井弥八(御小人目付):近藤公園
- 日置八十吉(御徒目付):高岡蒼甫
- 大竹茂助(御徒目付):六角精児
- 石塚利平(足軽):波岡一喜
- 平山九十郎(浪人・剣豪):伊原剛志
- 佐原平蔵(浪人・槍の名手):古田新太
- 小倉庄次郎(平山九十郎の門弟):窪田正孝
- 木賀小弥太(山の民):伊勢谷友介
明石藩
- 松平左兵衛督斉韶:稲垣吾郎
- 鬼頭半兵衛(明石藩御用人千石):市村正親
- 間宮図書(明石藩江戸家老):内野聖陽
- 浅川十太夫(明石藩近習頭):光石研
- 出口源四郎(明石藩近習):阿部進之介
幕府
- 土井大炊頭利位(江戸幕府・老中):平幹二朗
尾張藩
- 牧野靭負(尾張家木曽上松陣屋詰):松本幸四郎
- 牧野妥女(靭負の息子):斎藤工
- 牧野千世(妥女の嫁):谷村美月
その他
- 芸妓お艶・山の女ウパシ(2役):吹石一恵
- 三州屋徳兵衛(落合宿庄屋):岸部一徳
- 両腕両足の無い女:茂手木桜子
製作
監督の三池崇史は、「映画黄金時代の熱を表現したい」、「ヒットしそうな映画ばかり作る傾向に逆らいたい」、「CGは極力使わないでオーソドックスに撮る」と語った 。宿場町を再現したセットは東京ドーム20個分の広さを誇り、2008年8月より2億円をかけて製作された 。
撮影は2009年7月5日より山形県鶴岡市にある庄内映画村で開始された 。
スタッフ
- 監督:三池崇史
- エグゼクティブプロデューサー:中沢敏明、ジェレミー・トーマス、平城隆司
- プロデュース:梅澤道彦、市川南、白石統一郎
- 共同プロデュース:寿崎和臣、臼井央
- プロデューサー:大野貴裕、吉田浩二、前田茂司
- 原作:池宮彰一郎
- 脚本:天願大介
- 音楽:遠藤浩二(サントラ盤:WARNER MUSIC JAPAN/Atlantic Records)
- 撮影:北信康
- 照明:渡部嘉
- 録音:中村淳
- 美術:林田裕至
- 編集:山下健治
- 人物デザイン:柘植伊佐夫
- 衣裳デザイン:澤田石和寛
- スタントコーディネイト:辻井啓伺
- 製作委員会メンバー:テレビ朝日、東宝、セディックインターナショナル、電通、小学館、Recorded Picture Company、朝日新聞社、朝日放送、メ テレ、九州朝日放送、北海道テレビ、Yahoo! JAPAN、TSUTAYAグループ、東日本放送、静岡朝日テレビ、広島ホームテレビ
- 制作:セディックインターナショナル
- 制作協力:セディックドゥ、楽映舎
- 配給:東宝
- イメージソング:EAGLES/DESPERADO(デスペラード、邦題:ならず者)(アサイラム・レコード)
DVD・ブルーレイ
2011年5月27日に通常版と豪華版の2種類が発売された。レンタルは2011年5月13日から始められた。レンタルは通常版のみ。
- 通常版
- 映像特典:予告、特報、TVスポット集
- 豪華版
- 映像特典:予告、特報、TVスポット集(通常版と同じ)
- 特典ディスク:
- メイキング(約82分)
- 完成披露試写会(約17分)
- 初日舞台挨拶(約10分)
- キャスト・スタッフ インタビュー(約51分)
- ヴェネチア映画祭レポート(約22分)
- 未公開シーン(約2分)
- 封入特典:プレスシート復刻縮刷版
- 初回限定封入特典:絵コンテ集(特製アウターケース付き)
四方山話
- 2010年5月30日、テレビ朝日系「日曜洋画劇場」枠 の冒頭で映像が初公開された。
- 予告編やテレビCMにイメージソングとしてイーグルスの『デスペラード(ならず者)』が使用された 。
- 2010年7月29日、ヴェネツィア国際映画祭最高賞である金獅子賞などの対象となるコンペティション部門に『ノルウェイの森』とともに出品された 。
- 島田新左衛門役の役所と松平役の稲垣は2004年に『笑の大学』で共演しており、事実上2度目の共演であった。
- 全国312スクリーンで公開され、2010年9月25,26日初日2日間で興収2億2837万5200円、動員は18万8986になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第3位となり、更に『THE LAST MESSAGE 海猿』『君に届け』と合わせ東宝作品が上位3位を独占した 。また、『ぴあ』初日満足度ランキング(ぴあ映画生活調べ)でも第3位と高評価されている。
- 第40回ロッテルダム国際映画祭(オランダ)で2011年1月29日に招待上映された。なお、ヴェネツィア国際映画祭などで上映された15分短い海外バージョンではなく、日本公開版が上映された (海外バージョンでは、斉韶が犬食いをするシーンや小弥太と徳兵衛のコミカルなシーンなどが削られている)。
- 2011年7月1日から14日まで開催される第10回ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバル(en:New York Asian Film Festival)にてノーカット版(日本公開版)が上映される予定 。
- 劇中で『伊那、駒ヶ根を通って飯田』と三州街道の宿場を指して話し合っているシーンなど、何度か『駒ヶ根』という地名が出てくるが、『駒ヶ根』は昭和の大合併の際に誕生した地名であり、江戸時代には存在していない。ちなみに、地図では「上穂(うわぶ)宿」と書かれている。
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